【産業報道出版】エリス 「エコプロアワード」で優秀賞受賞

2021/11/09

昨年10月26日、菅義偉首相(当時)は所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル(CN)、脱炭素社会の実現を目指す」を宣言した。温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする取り組みで、特に太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーへの注目が集まっている。なかでも水力への期待度が高まっているという。
つばめホールディングスのグループ会社、エリス(岡山市、桑原順社長)は自然エネルギー関連事業を多様に手掛けており、特に長崎大学と西日本流体技研(長崎県佐世保市)との共同研究を進めてきた「水力発電システム」(マイクロ水力発電)に注力している。小水力発電は、各地に点在する小規模な河川や水路などに設置され、低落差、低流量環境下でも効率的に発電できるシステム。自然環境を壊すことなく、効率的に発電できるため、各業種からの注目度は高い。すでに各地での実証実験・常設が進められており、現在約10ヵ所に設置済み。
桑原社長は「新たな技術を組み入れたものは特許取得済み。今は大手ガス会社やゼネコン、リース会社、LPガス事業者などからの引き合いが出始めている」と話す。将来的には東南アジアや南米など、水の豊富な約20ヵ国での展開も視野に入れている。
この小水力発電は、9月8日発表の「第4回エコプロアワード」(サステナブル経営推進機構主催)において、優秀賞を受賞した。エコプロアワードは、日本市場において事業者、消費者、投資家および市場関係者から高評価を受け、具体的に優れた環境配慮が組み込まれた製品・サービス・技術・ソリューション・ビジネスモデルなどの案件を表彰するもの。
高評価を受けた主因として「発電効率の高さと維持管理コストが低減できること」「災害時においても水流をエネルギーへ効率的に転換できること」「各種要因から発生する発電効率のブレに対応し、かつ発電効率を向上させていること」などをあげた。
表彰式は12月9日、東京ビッグサイトで開かれる「エコプロ2021」の特設ステージ内で実施され、受賞者紹介はサステナブル経営推進機構のエコプロアワード特設ブースで行われる。
今後の可能性については「農業用水路での落差工、急流工は分水されることが多く、これらは棚田などで多数存在している。また、農村部の耕作人口は激減しており、用水路などのインフラに充当できる費用は賦課金では賄えなくなっているが、ここに小水力発電を設置し、水力エネルギーを電力へ有効に変換することで安定収入の確保ができるのではないか」とした。LPガス業界に向けては「CNの実現に向けてビジネスが難しくなるかもしれない。今後注目される再エネは、LPガス事業者にとっても有望株の1つになると思う。小水力発電の有効性や安全管理はLPガス事業と通ずるものが多く、共同事業としても適している」と強調する。(一部抜粋)

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